"適応症と禁忌症" 修訂間的差異

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温泉の泉質別禁忌症
 
温泉の泉質別禁忌症
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於 2007年9月21日 (五) 13:19 的最新修訂

わが国では、「湯治」というかたちで、温泉が病気やケガを治すために利用されてきました。温泉そのものや温泉地が身体に及ぼす効果については、前回まとめた通りですが、どんな症状にも温泉が効くということはありません。また、温泉でなければならないということもありません。

温泉を利用して病気やケガの症状などを治していくことは「湯治」と呼ばれてきましたが、医学的な見地では「温泉療養」と呼んでいます。温泉療養には、実施してもよい病気や症状と、実施してはいけない病気や症状があります。

したがって、自分の病気や症状が温泉療養に適しているかどうか、また、適しているのであればどのような方法で入浴や飲泉をすればよいのかなどをあらかじめ認識しておく必要があります。 適応症 温泉療養をおこなってよい病気や症状のことを「適応症」といいます。これは、主に慢性の病気や症状が該当します。

禁忌症 一方、温泉療養をしてはいけない病気や症状のことを「禁忌症」といいます。これは、急性炎症性疾患や急性感染症などが対象になっており、たとえば、へんとう腺炎、肺炎、流感、赤痢、チフスなどが該当します。抗生物質を使用する病気や症状は殆ど温泉療養に適さないと考えられます。このほかに、癌や肉腫、重症の糖尿病、白血病、妊娠初期と末期なども禁忌症に当たります。

このように、温泉療養をしてはいけない病気や症状も少なくありません。いずれにしても、温泉療養を行う際は自己診断だけではなく、医師の指導を受けることが望ましいと思われます。特に、温泉の知識を持った「温泉療法医」に相談されることをお勧めいたします。

以下温泉療法について、浴用と飲用に分けて一般的な注意事項を簡単にまとめます。

浴用上の注意事項 ①温泉療養を始める場合は、最初の数日は入浴回数を1日あたり1回位とするのがよいでしょう。その後は1日2~3回までとします。 ②温泉療養のための必要期間は、おおむね2~3週間が適当です。 ③温泉療養開始後3~7日前後に、「湯あたり」、「湯さわり」などの浴用反応が現れることがあります。  この間は、入浴回数を減らすか中止し、湯あたり症状の回復を待ってから入浴を再開して下さい。 ④強酸性泉や硫化水素泉では、入浴後皮膚に「湯ただれ」ができやすいので、皮膚の敏感な人は注意が必要です。 ⑤入浴の方法 ・入浴時間は泉温によって異なりますが、初め3~10分程度で、なれるに従って延長していきます。 ・運動浴を除き、入浴中は安静を守ることが大切です。 ・入浴後、身体についた温泉の有効成分を洗い流さないようにし、皮膚から吸収されるように自然乾燥させることが望ましいのです。  (ただし、循環式浴槽の温泉の場合は上がり湯をかけて流して下さい) ・入浴後は湯冷めに注意して、必ず一定時間の安静を保ってください。 ・高血圧や動脈硬化症、心臓病については、原則として高温浴(42℃以上)は避けてください。 ・熱い温泉に急に入ると脳貧血を起こす場合があります。入浴前に頭部や身体にかぶり湯やかけ湯をしてから浴槽に入ってください。 ・食事の直前直後の入浴は避けましょう。また、飲酒しての入浴は特に危険です。

飲用上の注意事項 ①飲用の許可のあることを必ず確認し、できる限り温泉療法医の指導を受けましょう。 ②飲用には温泉湧出口の新鮮なものを用い、1回量は一般にコップで一杯程度。1日の量はおおむね200~1,000ミリ㍑までとします。ただし、酸性泉やナトリウム塩化物泉などは、泉質濃度によって減量や希釈します。 ③一般に飲泉は食前30分~1時間前または空腹時がよく、夕食後から就寝前はなるべく避けましょう。 ④鉄泉、放射能泉、ヒ素、沃素、臭素を含有する温泉は、必ず飲用の許可を確認すること。また、これらの飲用直後には、お茶、コーヒーは飲まないようにしましょう。

 なお、以下に一般的な適応症と禁忌症、ならびに泉質別の適応症と禁忌症を掲載しますので、参考にしてください。

温泉の一般的適応症 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進

温泉の一般的禁忌症 急性疾患、(とくに熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性の疾患、高度の貧血、その他一般に病勢進行中の疾患、妊娠中(とくに初期と末期)

温泉の泉質別禁忌症

泉質 浴用 飲用
塩化物泉 炭酸水素塩泉 一般的禁忌症に準ずる 腎臓病、高血圧症、一般むくみがあるとき、甲状機能亢進症のときヨウ素を含有する温泉は禁忌
硫酸塩泉 一般的禁忌症に準ずる 下痢のとき
二酸化炭素泉 一般的禁忌症に準ずる 下痢のとき
硫黄泉
酸性泉 皮膚、粘膜の過敏な人、とくに光線過敏症の人(硫化水素型) 高齢者の皮膚乾燥症 下痢のとき