健康に取り組む温泉地

出自 溫泉百科
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前回は「温泉と健康」についての関係についてまとめてみました。今回は温泉を利用して健康に取り組んでいる温泉地について、いくつかの事例を紹介します。

 地域として健康に取り組む温泉地

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 身心の健康維持・健康増進に関しては、医師の指導を受けることが望ましいことは言うまでもありません。これは、食事や運動の面に限らず温泉についても同様です。特に温泉については、温泉の知識を持った医師である温泉療法医の指導を受けることをお勧めします。現在、温泉療法医は全国で700名ほど認定されています。温泉を健康に役立てるために、温泉療法医の指導をもとに地域として実践している温泉地があります。その内の幾つかを紹介しましょう。  温泉療法医については、その11で取り上げましたので、詳細はそちらを参照してください。

 鹿教湯温泉(長野県・丸子町)

 長野県の鹿教湯温泉は、古くから脳卒中などに効果があると言われ、湯治場として発展してきた温泉地です。

 鹿教湯では、いち早く病院を誘致して昭和31年に丸子温泉郷として国民保養温泉地の指定を受けました。この病院と連携をはかり、病院で検査と問診を受けて医師の指導をもとに、旅館に5日間ほど滞在しながら温泉入浴や体操などを実施するという「集団保養」のシステムを確立しました。地域として温泉を利用した健康づくりに古くから取り組んできた先駆的な温泉地です。

 その後、丸子町温泉センター(クアハウスかけゆ)を設置し、温泉プールでの運動浴や各種の入浴方法を取り入れて、現在に至っています。文殊堂で開催される健康体操が、火曜日を除く毎朝9時からインストラクターの指導で開催され、多くの人々が参加しています。

 また、2000年2月には共同浴場が建て替えられ、鹿教湯健康センターとしてオープンしました。「あつい湯」と「ぬるい湯」の温度差のある浴槽が設置され、ヘルスコーナーには全自動の血圧計やサイクルエクササイザーなどが設置され、健康増進にむけての設備がより充実しました。


鹿教湯温泉で毎朝開催されている「健康体操」

 

 肘折温泉(山形県・大蔵村)

 山形県の肘折温泉は、1200年もの歴史を有する温泉地です。出羽三山の主峰月山の登山口に位置し、古くから傷の治る温泉として知られてきました。

 肘折温泉は、隣接する黄金温泉・石抱温泉とともに肘折温泉郷として平成元年に国民保養温泉地の指定を受けました。その後、平成3年に国民保健温泉地の指定を受けたのを契機に、県のモデル事業として温泉療法医の協力を得て「温泉療養相談」を導入し、個別に効果的な温泉の入浴方法などの指導を実施してきました。

 平成6年には黄金温泉に「カルデラ温泉館」を設置し、低温の炭酸泉を利用した部分浴や飲泉ができるようになりました。その後、平成10年には「肘折いで湯館」が完成し、温泉療養相談を中心とした健康増進のための中核施設として活用されています。

 現在温泉療養相談は、毎週土曜日に2名の温泉療法医が担当しています。対象者は肘折温泉郷の宿泊者で、受付の際に相談者カードに記入して、相談者個々の症状や疾患の血圧なども測定。大きな成果を上げています。