温泉および温泉地の効果
わが国では、大変古くから温泉が利用されてきました。種々の伝説はもちろん、歴史的な文献である古事記、日本書紀、万葉集そして各地の風土記などのほか、温泉地を描いた絵図等、随所に温泉やその利用のされ方などが記されています。
日本人は「風呂好きな民族だ」とよく言われます。 たしかに、家庭で汗やほこりで汚れた身体を洗い流して湯船に浸かるのは、たいへん気持ち良いものです。まして、広々とした浴槽に満々とたたえられた温泉に浸るとなると、家庭の風呂以上の開放感と爽快感が味わえることは言うまでもありません。
温泉の利用のされかたは様々ですが、疲労を回復させる「休養」、健康を保持し病気を予防する「保養」、病気の治療をする「療養」の3つに分類することができ、これを温泉の三養と呼んでいます。
それでは、温泉及び温泉地は、人間の身体にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?
まず、温泉そのものの効果について見てみましょう。 この効果については、温泉の含有成分による効果と変調効果の2つが挙げられます。 また、温泉の成分以外にも、温熱・浮力・水圧などによる物理的効果が挙げられます。
つぎに、転地などによる効果について見てみましょう。この効果の要因は、温泉地の地形、気候、植生などが挙げられます。 紫外線やイオン、気圧や森林浴効果など、まわりの環境が大きく作用しているのです。
このように、温泉および温泉地の効果は、温泉そのものの効果、転地・気候などの環境による効果、そして、食事や運動などの総合効果として現れるものであると言われています。
①含有成分による効果 温泉中のガスやイオンなどが体内に吸収されて現れる効果です。温泉の成分が皮膚から吸収され、血液に入って全身にいきわたり、皮膚、皮下組織、筋肉などの細胞に作用すると同時に、神経系にも作用するものです。
②変調効果
体内に吸収された温泉成分の刺激や、反復して温泉に入浴することによって受ける刺激によって、神経系統の調整や内分泌機能を調節する作用があります。
③転地や気候による環境効果
日常生活やストレスからの開放や、温泉地の自然環境が身体によい影響を及ぼす作用があります。
④食事や運動による効果 規則正しい食事や栄養のバランス、そして健康状態や年齢に応じた適切な運動などが身体によい影響を及ぼします。